「弾き語りのデモは作れるけど、そこからプロっぽいアレンジに仕上げる方法がわからない」「DAWで音を足してみても、ごちゃごちゃして逆にダサくなる」。DTMでの楽曲制作を始めた方なら、誰もが経験する壁です。この記事では、JBG音楽院の野口講師がシンプルなアコギ音源を「ちゃんみな」風サウンドに劇的に変貌させた過程を紹介します。キック・ベースのレイヤリング、サイドチェインによるグルーヴ作り、大胆なエフェクト使いなど、プロのトラックメイクの思考を覗いてみましょう。
「アコギ弾き語りのデモ音源を作ったものの、そこからどうアレンジしていいか分からない」
DTM初心者の多くが、こうした曲の展開や肉付けの段階で壁にぶつかってしまいます。
DAWを使って色々な音を足してみても、音がごちゃごちゃしてしまい、アイデアがワンパターンになりがちです。
今回は、JBG音楽院の野口講師がスタッフのシンプルなアコギ音源を、大人気の「ちゃんみな」風サウンドへと劇的に変貌させたガチアレンジの手法を、YouTube動画で解説しました。
プロがどのようなロジックで音を積み重ねているのか、その裏側にある緻密なトラックメイクの視点を紐解いていきましょう。
アコギ音源から現代的サウンドへ!プロの音作りの裏側
シンプルな弾き語りのデモ音源を、低音が効いた現代的なサウンドへ生まれ変わらせるには、単に楽器を増やすだけでは不十分です。
プロのアレンジ現場では、一つの音色に対して複数のアプローチを組み合わせて圧倒的な音の厚みと輪郭を作り出しています。
キックとベースを何層にも重ねる技術
楽曲の土台となるキックやベースの処理において、野口講師はそれぞれ3種類の音色を重ねる手法を取っています。
キックであれば、イントロ用の音に加えて、サビではアタック感のある音や輪郭を補強する音をレイヤーし、力強いビートの軸を構築しています。
ベースにおいても、低音のうねりを担う音、レトロなFM音源風の音、そしてちゃんみな風サウンドの鍵となる「ジリジリとした高音の輪郭」を混ぜ合わせています。
それぞれの周波数帯域の役割を理解し、パズルのように組み合わせることで、プロ特有の太いサウンドが完成するのです。
サイドチェインとエフェクトで作る圧倒的なグルーヴ
音色を揃えた次に重要になるのが、楽曲全体に命を吹き込むグルーヴ感の演出です。
打ち込んだばかりのキーボードやストリングスは、どうしても直線的で機械的な冷たい印象になってしまいます。
そこで動画内で活用されていたのが、現代のポップス制作に欠かせない「サイドチェイン」というテクニックです。
音を出さないトリガー用の隠しトラックを用意し、その信号に合わせてコード楽器の音量をコンプレッサーでへこませることで、楽曲全体に心地よい波のようなうねりを生み出しています。
遊び心から生まれる斬新なアプローチ
さらにプロの現場では、確かな理論の上に「遊び心」を掛け合わせることが多々あります。
今回のサビ部分では、クラップ(手拍子)に対して通常ではあり得ないほど非常に長いリバーブをかけて空間を演出しています。
こうした斬新なアイデアも、さまざまな音楽に触れてきた経験値と、DAWの機能を限界まで使い切ろうとする探究心から生まれるものです。
ボーカル処理においても、ケロケロボイスやイコライザーを駆使してラジオボイス的な質感を加え、楽曲の世界観を補強しています。
⏵ アレンジ・ミキシングの基礎を学びたい方へ
トラックメイクやミキシングの技術は、音楽理論と組み合わせることで真価を発揮します。JBG音楽院の『社会人のDTM 始め方ロードマップ』(51ページPDF)では、DTM学習の全体像と各スキルの習得順序を整理しています。
独学の壁を突破し、「本物の作曲力」を手に入れるには
DAWソフトには優秀なループ素材や機能がたくさん備わっており、誰でも簡単に音を鳴らすことができます。
しかし、直感的な操作だけに頼っていては、周波数のすみ分けやエフェクトの論理的な使い方が分からず、独学・自学の限界に直面してしまいます。
もちろん最初はDAWのツールを活用して曲作りの楽しさを知ることも大切ですが、プロレベルの自由な作曲やアレンジをおこなう上では、各楽器の特性や基礎的なミキシングの知識が必ず必要になってきます。
JBG音楽院では、デジタルソフトの操作(Digital)だけでなく、音楽理論やアナログな音の感性(Analog)を統合して学ぶ「DTAM(Desktop and Analog Music)」という理念を提唱しています。
プロ講師のガチアレンジの思考を直接トレースし、確かなフィードバックを受ける環境こそが、手癖からの脱却を叶える最短ルートなのです。
まとめ
プロの作曲家によるアコギ音源のガチアレンジから見えてきた、トラックメイクの極意をまとめます。
- 音色のレイヤー:キックやベース帯域に複数の音色を重ねることで、太さと輪郭を両立させる。
- グルーヴの演出:サイドチェインを効果的に使い、直線的な打ち込み音源に心地よい波のようなうねりを作る。
- エフェクトの探究:極端に長いリバーブやボーカル加工など、遊び心を持って楽曲の世界観を広げる。
- 理論との掛け合わせ:DAWの機能だけでなく、楽器の特性やDTAMの知見を統合してプロの表現力を磨く。
デモ音源からプロのサウンドへの道筋を知ることは、自身のアレンジ力を鍛える最高の教科書になります。
ぜひ今回の動画をじっくり見て、プロの緻密な音作りの技術を吸収してください。
また、今回の記事で解説した内容は、JBG音楽院の公式YouTubeチャンネルの動画で、さらに詳しく学ぶことができます。動画では、アコギ音源が劇的に変貌していく過程を実際の音で聴くことができます。ぜひチェックしてみてください。
プロのアレンジ手法を知った次は、音楽理論とDAWの操作力を同時に高めることです。DTM学習全体の道筋は『社会人のDTM 始め方ロードマップ』(51ページPDF)で確認できます。