DTMや作曲を学ぼうとするとき、多くの人が2つの入り口から迷い始めます。
ひとつは、これから始める人。「スクールは沢山あるが、何を基準に選べばいいのか分からない」。もうひとつは、独学や別のスクールで数年やってきた人。「教材も機材も揃えたのに、納得できる曲が完成しない。次こそ環境を変えたいが、また失敗したくない」。
一見別の悩みに見えますが、根本にあるのは同じ問題です。「スクールを評価する軸」を持っていないこと。軸がなければ、知名度や広告の印象、料金の安さで選ぶことになり、それは多くの場合、遠回りにつながります。
この記事では、DTM・作曲スクールの選び方を7つの軸に整理して解説します。特定のスクールを推すためのものではなく、どのスクールの説明会でも使える「見抜くための質問」まで含めて紹介します。
その前に ── 学習環境には3つの類型がある
比較の前に、業界の地形図を押さえておくと迷いにくくなります。DTM・作曲の学習環境は、おおむね3つに分かれます。
Lv.1 動画教材・大人数講義型
低価格。決まったカリキュラムを一方向に配信。質問や添削は限定的。
▶ 向いている人:趣味として広く浅く触れたい人
Lv.2 個人レッスン型
講師と1対1。柔軟だが、講師の力量と相性に結果が大きく依存する。カリキュラムの体系性は薄いことが多い。
▶ 向いている人:特定の課題をスポットで解決したい人
Lv.3 少人数×体系カリキュラム型
プロ基準の到達点から逆算した体系カリキュラムを、少人数で完走させる。価格は高い。
▶ 向いている人:本気で、プロの水準まで突き詰めたい人
どれが優れているという話ではありません。重要なのは、「自分がどこまで行きたいか」と類型が一致していないと、時間とお金が無駄になるということです。趣味で楽しみたい人がLv.3に入る必要はありませんし、逆に「プロ級の曲を完成させたい」人がLv.1を選ぶと、多くの場合は伸び悩みます。
スクールを見抜く7つの軸
軸1. 講師は「現役のプロ」か ── クレジットを確認する
講師紹介ページで見るべきは、肩書きではなくクレジット(実際に世に出た仕事)です。「講師歴◯年」よりも、「どのアーティスト・作品に関わったか」。現役で音楽の仕事をしている講師は、今の制作現場の基準——つまりあなたが目指す到達点——を知っています。
説明会で聞くべき質問:「担当講師の最近のお仕事を教えてください」
軸2. クラスの人数 ── 大人数講義では「作れるように」はならない
作曲は知識ではなく技能です。技能の習得には自分の曲に対する個別のフィードバックが不可欠で、これは物理的に少人数でしか成立しません。30人の講義で理論を聞いても、自分の曲のどこが悪いのかは分からないままです。
質問:「1クラス何名ですか。私の曲を講師が聴いてくれる時間は、どれくらいありますか」
軸3. ゴールは「操作を覚える」か、「曲を完成させる」か
カリキュラムの最終地点を確認してください。「DAWの使い方をマスター」で終わるカリキュラムと、「オリジナル曲を完成させ、人に届ける」まで設計されたカリキュラムは、まったく別物です。ソフトの操作は手段であって、目的ではありません。
質問:「卒業時点で、私は何を作れるようになっていますか。過去の受講生の完成曲を聴かせてください」
軸4. フィードバックは「プロ基準」か
添削の質は、スクールの実力がもっとも表れる場所です。「いいですね、その調子です」しか返ってこない添削と、「この帯域が濁っている。原因はこれで、直し方はこう」という添削では、1年後の到達点がまるで違います。優しいだけの添削は、結果的に遠回りになります。
質問:「添削の実例を見せてください」
軸5. 「いつまでに・どこまで」を明言できるか
期間と到達点をセットで言えないスクールは、カリキュラムが逆算されていない可能性があります。「人によります」だけで終わる回答は要注意です。もちろん個人差はありますが、体系化されたスクールであれば「標準的にはこの期間でここまで」を提示できるはずです。
質問:「1年後、私はどのレベルに到達していますか」
軸6. 料金は明示されているか
料金を最後まで開示せず、説明会や個別面談で初めて提示するスクールもあります。事情はさまざまですが、比較検討する立場からは、公式サイトで料金を明示しているかどうかは、そのスクールの姿勢を測るひとつの材料になります。高いか安いかより先に、「隠していないか」を見てください。
軸7. 学んだ後の道筋があるか
作れるようになった先——収益化、案件、キャリア——への道筋を持っているか。ここは軸1(講師が現役のプロか)と直結します。現場にいない人は、現場への入り方を教えられないからです。
質問:「卒業生は、学んだ後どう活動していますか」
7つの軸で、あえて自校を採点すると
最後に、透明性のために書いておきます。この記事を書いているJBG音楽院は、先ほどの類型でいえばLv.3(少人数×体系カリキュラム型)にあたります。
少人数でプロ基準のフィードバックを行うからこそ「マスターできる」と言い切れる、という設計思想です。料金も公式サイトに明示しています。その分、価格は動画教材型より高く、「軽い趣味として楽しみたい」方には正直、向いていません。
軸5について言えば、私たちは6ヶ月のCOREプログラムで音楽の基礎教養を固め、1年でプロ級のオリジナル曲を完成させることを標準の到達点として設計しています。さらに学びたい方には、作詞・ボーカルレコーディングまで踏み込む1.5年、ストリングスアレンジや高度なミックスまで扱う2年のコースもあります。
また軸7については、JBGは作曲会社としての顔も持っています。一定の実力に達した受講生には、実際の案件を発注します。フェスのステージに立つシンガーソングライターや、アイドルに楽曲を提供する作曲家も学びに来ており、ゲーム音楽の制作依頼を講師と選抜受講生のチームで納品した実績もあります。
本気で突き詰めたい方は、説明会で上の7つの質問をそのままぶつけてください。どの質問にも、具体的にお答えします。
一覧に戻る