ゲームや動画の自主制作で「この場面に合う効果音がない」と探し回った経験はないでしょうか。素材サイトをいくら探しても理想の音が見つからないとき、効果音は自分で作れます。素材・録音・シンセという3つの手段の使い分けから、決定音やキラキラ音など音色別の作り方、ゲームSEの実務の注意点までを順に解説します。
この記事の要点
効果音 (SE) の作り方は、シンセサイザーで合成する・実際の音を録音して加工する・既存素材を重ねて作るの3つが基本です。欲しい音の種類で手段を使い分けます。
目次
効果音 (SE) とは何か?環境音やBGMとの関係
効果音 (SE: Sound Effects) とは、BGM以外に場面の演出として鳴らす音の総称です。サウンドエフェクトという呼び方も同じ意味です。
決定音、足音、剣がぶつかる音、ドアの開閉。一つひとつは短い音ですが、これらがあることで画面の中の出来事に手応えが生まれます。ゲームならボタンを押した実感、映像なら画面の中の物音。BGMが音楽として感情を動かすのに対して、SEは出来事に反応して情報を伝えます。
効果音の一種に環境音 (アンビエンス) があります。環境音とは、風の音や鳥の声、街の喧騒など、その場の空気感を作る背景音のことです。鳴っていることに気づかれないくらい自然であることが理想とされ、ゲームや映像の没入感を下支えしています。
効果音の作り方は3つ。素材・録音・シンセをどう使い分けるか
既存素材を使う・録音する・シンセで合成するの3つが基本で、求める音の実在感と独自性で選びます。
まず検討したいのは素材サイトです。無料配布サイトやAudiostockのような販売サイトには大量のSEがあり、汎用的な音はこれで十分まかなえます。注意点は2つあります。利用規約 (商用利用・改変の可否) の確認と、他の作品と同じ音になる宿命です。有名な無料素材は誰もが使うため、視聴者が聴き慣れた音になりがちです。
作品の世界観に合わせたい音、素材に存在しない音、作品の核になる音。ここからが自作の出番で、手段は録音とシンセ合成の2つに分かれます。
| 手段 | 向いている音 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 素材サイト | 汎用的な音 (ドア・汎用ボタン音など) | 規約確認のみ |
| 録音 (フォーリー) | 現実に存在する音 (足音・物音・衣擦れ) | マイクか スマホ+静かな環境 |
| シンセ合成 | 現実に存在しない音 (魔法・UI電子音・ビーム) | DAW付属シンセ |
| レイヤー (重ねる) | 迫力が必要な音 (爆発・衝撃) | 上記素材の組み合わせ |
現実にある音は録音が早く、現実にない音はシンセが早い。この軸で考えると迷いません。素材を複数重ねて新しい音を作るレイヤーは両者の中間で、1つの素材では出ない迫力を作るときの定番です。
シンセで効果音を作るには?音色別の基本レシピ
波形を選び、音量とピッチのエンベロープ (時間変化) を設定するのが基本手順です。DAW付属のシンセで作れます。
シンセの効果音作りは波形×エンベロープ×エフェクトの3要素で考えます。波形が音の素材、エンベロープが時間変化、エフェクトが仕上げです。専用機材は要りません。Logic ProやCubaseに付属するシンセで、次のような定番の音が作れます。
決定音・通知音は、サイン波か三角波で短い音を作り、リリースを少しだけ残します。完全5度上の音を薄く重ねると、柔らかい「ポーン」という響きになります。
カーソル音は、矩形波を50ミリ秒前後で切ると「ピッ」になります。アタックは最速、リリースはほぼゼロ。高域が耳に刺さらない音域を選ぶのがコツです。
ジャンプ音は、ピッチエンベロープで音程を一気に駆け上がらせます。レトロゲームの「ピョン」という音はこの原理です。逆にピッチを急降下させると、落下や失敗の音になります。
変身やアイテム獲得のキラキラ音は、ベル系の音色で高い音域のアルペジオを鳴らし、リバーブを深めにかけます。「シャラーン」という定番の輝きはこれで再現できます。
風の音は、ホワイトノイズにローパスフィルターをかけ、フィルターの開き具合をゆっくり揺らします。爆発音は、ノイズの塊にピッチが急降下する低いサイン波を重ね、歪み系エフェクトで圧力を足します。
レシピはあくまで出発点です。波形とエンベロープの対応関係が体に入ってくると、頭の中で鳴っている音から逆算して再現できるようになります。この技術は、楽曲制作のシンセの音作りでもそのまま使います。
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録音とレイヤーで効果音を作るには?
身近な物の音を録音して加工する手法をフォーリーと呼びます。素材を複数重ねるレイヤーと組み合わせるのが実務の定番です。
フォーリーは映画の音響制作で生まれた手法です。野菜を折る音が骨や枝の音に、布を振る音が羽ばたきになります。大事なのは「その物自体の音」ではなく「それらしく聴こえる音」を探すことです。レコーダーやスマホを持って身の回りの物を叩き、擦り、落としてみると、使える音は家の中に意外なほどあります。ただし部屋の反響やノイズが乗ると後の加工では取り切れません。録音環境づくりは自宅録音のノイズ対策が参考になります。
1つの素材で足りないときは、低域・中域・高域で役割を分けて重ねます。低域が迫力、中域が芯、高域が質感です。初心者がつまずくのは、細い素材ばかり重ねて音が痩せるか、同じ帯域同士がぶつかって芯が消えるかのどちらかです。重ねる前に「この素材はどの帯域の担当か」を決めると整理できます。
仕上げの加工は順番が肝心です。まず不要な低域をハイパスフィルターで削り、気になる共振を狭いEQで取り除く。それからコンプレッサーで音圧をそろえ、最後にリバーブやピッチ変更で演出を加えます。足し算より先に引き算。ミックスと同じ原則です。
ゲームの効果音 (SE) で求められる4分類と実務の注意点
ゲームSEはアクション音・環境音・UIサウンド・フォーリーの4分類で考えると整理できます。
アクション音は攻撃や被弾など操作に直接反応する音で、プレイの爽快感を左右します。環境音はステージの空気感。UIサウンドはカーソルや決定の操作音。フォーリーは足音や衣擦れなど、キャラクターの実在感を支える音です。
実務では、作る技術と同じくらい「使われ方」への配慮が問われます。注意点は2つです。
1つ目は繰り返し耐性です。UI音や足音は1回のプレイで何百回も鳴ります。単体で印象的な音より、何度聴いても疲れない音が正解です。足音は同じ素材のピッチや音量をわずかに変えた複数バリエーションを用意すると、機械的な印象を避けられます。
2つ目はアンサンブルです。SEは単体では鳴らず、BGMや他のSEと同時に鳴ります。良い音とは単体で聴いて良い音ではなく、全体の中で機能する音です。単体では地味なのにゲーム画面ではちょうど良い、という音がいくらでもあります。この感覚は楽曲制作の音選びと共通です。なおBGM側の設計はゲーム音楽のループ設計で扱っています。
効果音制作の上達が独学だと遠回りになりやすい理由
自分の作った音が「正解かどうか」を判定する基準を、独学では持ちにくいためです。
効果音には楽譜も正解表もありません。決定音の高さが少し違うだけで印象は変わりますが、その良し悪しを言語化するには、シンセの音作り・ミックス・耳のトレーニングという土台が要ります。土台がないまま量産すると、どこを直せば良くなるのか分からないまま手が止まります。
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まとめ
効果音は、手段の選び方さえ分かれば特別な機材なしで作り始められます。
- 汎用の音は素材サイト、実在する音は録音、実在しない音はシンセ
- シンセは波形×エンベロープ×エフェクトの3要素で考える
- レイヤーは低域・中域・高域の役割分担で整理する
- ゲームSEは繰り返し耐性とアンサンブルが実務の鍵
まずは身の回りの音をひとつ録音して加工してみるか、DAW付属シンセで「ピッ」を1音作ってみてください。音を作る力はBGM制作にもそのまま効いてきます。ゲームサウンドを仕事にする道筋はゲーム音楽クリエイターというキャリアで紹介しています。
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よくある質問
Q. 効果音とSEは同じ意味ですか?
A. 同じです。SEはSound Effectsの略で、サウンドエフェクトという呼び方も含めてすべて同じものを指します。
Q. 環境音と効果音の違いは何ですか?
A. 環境音は効果音の一種で、風や街の喧騒などその場の空気感を作る背景音を指します。アンビエンスとも呼ばれます。
Q. 効果音は無料で作れますか?
A. 作れます。DAW付属のシンセとスマホ録音だけで始められるため、DAWを持っていれば追加費用はかかりません。
Q. 素材サイトの効果音を使うのは手抜きですか?
A. 手抜きではなく、プロの現場でも素材は併用されます。利用規約を確認したうえで、作品の核になる音だけ自作して差別化するのが定石です。
Q. 効果音とBGMはどちらから学ぶべきですか?
A. 順序に決まりはありません。シンセの音作りとミックスの基礎は両方に共通するため、土台から学ぶとどちらにも効きます。