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ゲームの良し悪しは「効果音」で決まる。プレイヤーを夢中にさせる、プロのSE制作術

2025.06.28

ゲームの良し悪しは「効果音」で決まる。プレイヤーを夢中にさせる、プロのSE制作術

「ゲームのBGMだけでなく、あの爽快な攻撃音や心地よい決定音も自分で作ってみたい!」「効果音(SE)制作に興味があるけど、何から始めたらいいか全く分からない…」そんな風に感じていませんか?ゲームの世界において、プレイヤーのあらゆるアクションに反応し、没入感を高める効果音(SE)は、BGMと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な役割を担っています。この記事では、ゲームの臨場感やプレイヤーの「手触り感」を決定づける、プロの効果音制作術について、その基本ステップからおすすめのツールまでを分かりやすく解説します。

効果音(SE)とは?ゲームの世界に命を吹き込む「音の演出」

効果音(SE: Sound Effects)とは、BGM以外の、ゲーム内で発生する全ての音を指します。キャラクターの足音、剣がぶつかり合う音、魔法が炸裂する音、メニュー画面でカーソルを動かす音…。これら一つひとつの音が、ゲームの世界にリアリティと手触り感を与え、プレイヤーの行動に対して「音が返ってくる」というインタラクティブな楽しさを生み出します。

優れたSEは、プレイヤーに情報を伝え(例:敵が近くにいる気配)、行動を促し(例:アイテムゲット時の気持ち良い音)、そして世界観そのものを構築します。BGMが映画の「音楽」なら、SEは「効果音」や「フォーリー(登場人物の動作によって生じる音)」にあたり、両方が揃って初めて、豊かなサウンドデザインが完成するのです。このようなゲームサウンド全体の制作は、当音楽院のブログ記事である「プレイヤーの「心」を揺さぶる音を創る。ゲーム音楽クリエイターという、最高のキャリア」でも解説している通り、ゲーム音楽クリエイターの非常に重要な仕事の一部です。

ゲームSEの主な種類:どんな音を作る必要がある?

ゲームSE制作と一言で言っても、その種類は多岐にわたります。ここでは、代表的なSEの種類を4つに分けてご紹介します。

1. アクション音(攻撃音、足音、着地音など)

プレイヤーやキャラクターの行動に直接対応する音です。剣で斬りつける「シャキン!」という音、パンチがヒットした時の「バシッ!」という重い音などがこれにあたります。プレイヤーが操作してすぐに反応が返ってくるため、気持ちよさや爽快感といった「手触り」を演出する上で非常に重要です。

2. 環境音(アンビエンス):世界の空気を作る音

そのステージや空間の「空気感」を演出するための背景音です。森の中の鳥のさえずりや風の音、洞窟内の水滴の音や反響、都会の喧騒などが含まれます。これが流れているだけで、プレイヤーはゲームの世界にいるかのような没入感を得ることができます。

3. UIサウンド(カーソル音、決定音、キャンセル音など)

UI(ユーザーインターフェース)とは、メニュー画面や選択肢など、プレイヤーがゲームを操作するための画面のことです。UIサウンドは、カーソルを動かした時の音、ボタンを押した時の決定音など、プレイヤーの操作が正しく認識されたことを知らせるための重要なフィードバックです。心地よいUIサウンドは、ゲーム体験全体の快適さを向上させます。

4. フォーリーサウンド:キャラクターの衣擦れや小道具の音

元々は映画制作の用語で、登場人物の動きによって生じる様々な音を指します。ゲームにおいては、キャラクターの衣服が擦れる音、鎧がカチャカチャと鳴る音、ポーションを飲む音などがこれにあたります。これらが丁寧作り込まれていると、ゲーム世界のリアリティが格段に増します。

DTMでの効果音の作り方:基本の5ステップ

それでは、実際にDAW(楽曲制作用ソフト)を使って効果音を作るための基本的な手順を5つのステップで見ていきましょう。

ステップ1:音の設計「どんな音が必要か?」

まず、どのような音を作りたいのか、その目的とイメージを明確にします。例えば「剣で敵を斬りつけた時の音」であれば、「軽い金属音か、重い一撃か?」「プレイヤーに爽快感を与えたいのか?」といったことを考え、音のキャラクターを設計します。

ステップ2:素材の収集「音を録るか、探すか、作るか」

設計した音を作るための元となる「素材」を用意します。方法は主に3つあります。

  • 録音(フィールドレコーディング): マイクを持って実際に外に出て、必要な音を録音します。例えば、金属を叩く音、布が擦れる音などです。
  • 効果音素材サイトの利用: インターネット上には、無料で利用できる効果音素材サイトが数多く存在します。そこからイメージに近い音を探してダウンロードします。(利用規約は必ず確認しましょう)
  • シンセサイザーでの作成: 爆発音やビーム音、UIサウンドといった現実には存在しない音は、シンセサイザーを使ってゼロから作り出します。

シンセサイザーを使った音作りの基本については、当音楽院のブログ記事である「DTM初心者向けソフト音源の選び方。無料VSTプラグインで音作りはもっと楽しくなる」も参考にしてみてください。

ステップ3:DAWでの編集「不要な部分をカットし、整える」

収集した素材をDAWに取り込み、編集作業を行います。録音した素材であれば、不要なノイズを除去したり、必要な部分だけを切り出したりします。この段階で、音の立ち上がり(アタック)や余韻(リリース)を調整し、効果音としての基本的な形を整えます。

ステップ4:音の加工「エフェクトでキャラクターを付ける」

編集した素材に、DAWのプラグインエフェクトを使って加工を施し、設計した音のイメージに近づけていきます。複数の素材をレイヤー状に重ねて、より複雑でオリジナリティのあるサウンドを作り出すことも重要です。

  • EQ(イコライザー): 特定の周波数帯域を強調・カットし、音の明るさや質感を調整します。
  • コンプレッサー: 音の粒を揃え、アタック感を強調します。
  • リバーブ/ディレイ: 残響を加え、音に空間的な広がりを与えます。

ステップ5:最終調整と書き出し

完成した効果音の音量を最終調整し、ゲーム内で使われることを想定したファイル形式(WAVが一般的)で書き出します。この際、複数の効果音の音量バランスがバラバラにならないよう、ある程度の基準を設けておくことも大切です。

JBG音楽院で学ぶ、プロのサウンドデザイン技術

JBG音楽院では、BGMの作曲・編曲スキルだけでなく、このような効果音制作を含む「サウンドデザイン」の基礎についても学ぶことができます。私たちのカリキュラムは、ゲーム音楽クリエイターに求められる総合的な音の制作能力を養うことを目的としています。

DAWの高度なオーディオ編集機能や、シンセサイザーを使った音作りのテクニック、様々なプラグインエフェクトの活用法などを、実践的な課題を通じて体系的に学習します。プロの講師から直接フィードバックを受けることで、自分の作った音がどのように聴こえるのかを客観的に把握し、クオリティを向上させていくことが可能です。
JBG音楽院のカリキュラムを見る

まとめ:小さな「音」作りから、ゲームクリエイターへの道は始まる

効果音(SE)作成の基本ステップと、おすすめのツールについて解説してきました。効果音制作は、ゲームの臨場感やプレイヤーの没入感を高める、非常にクリエイティブで奥深い世界です。一見、BGM制作よりも地味に思えるかもしれませんが、一つひとつの音にこだわり、作り込んでいくプロセスは、まさにサウンドデザインの醍醐味と言えるでしょう。

この記事で紹介した制作ステップを参考に、まずは身の回りの音をスマートフォンで録音し、DAWや無料の編集ソフトで加工してみることから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな「音」作りが、あなたのゲームサウンドクリエイターとしてのキャリアの第一歩となるかもしれません。

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