「いきなり難しい曲で挫折した」DTMerへ。スピッツ『チェリー』で基礎を固める耳コピドリル
「耳コピに挑戦したけれど、音が複雑すぎてすぐに挫折してしまった。」
「どの曲から練習を始めれば、確実にステップアップできるのか分からない。」
作曲の上達に欠かせない耳コピですが、初心者がいきなり音数の多いアニソンや複雑なジャズに挑むのは、挫折の大きな原因となります。
耳を育てるための絶対的な鉄則は、自分のレベルに合ったシンプルな楽曲を選び、段階的に聴き取る範囲を広げていくことです。
この記事では、J-POPの歴史に残る名曲であるスピッツの『チェリー』を題材に、初心者向けの実践的な練習ドリルを解説します。
メロディ、コード、リズムという3つの要素を分解して聴き取ることで、名曲の構造を確実にご自身の引き出しへと変えていきましょう。
なぜスピッツ『チェリー』が教材として最強なのか?
効果的な耳コピ練習を行うためには、挫折しないための3条件を満たした楽曲を選ぶ必要があります。
- 楽器の数が少ない: 音の重なりが少なく、各パートが明瞭なシンプルなバンド編成であること。
- テンポがゆったりしている: 音の動きを落ち着いて追いかけられる、ミディアムテンポであること。
- コード進行が王道: 日本人が親しみやすい「カノン進行」などの定番パターンで構成されていること。
スピッツの『チェリー』は、これらすべての条件を完璧に満たす理想的な練習教材です。
この曲を通じて、J-POPの土台となる普遍的な音楽のルールを学ぶことができます。
ステップ1:【メロディ編】「順次進行」を口ずさんで探る
まずは楽曲の顔である、サビのボーカルメロディを正確にコピーするところから始めます。
いきなりDAWに打ち込もうとせず、まずはメロディを「ラララ」や「ドレミ」で実際に口ずさんでみましょう。
自分の声を録音して原曲と聴き比べることで、音程のズレを認識する能力が養われます。
声で音程が取れたら、MIDIキーボードなどで実際の音を探り当てます。
『チェリー』のサビの出だしは、「ド・レ・ミ」と隣り合う音を階段のように進む順次進行のメロディが多く使われているため、初心者でも迷わずに鍵盤のポジションを追いやすいはずです。
ステップ2:【コード編】ベースの「ド→ソ→ラ→ミ」を追う
次は楽曲の響きを決定づけるコード(和音)ですが、一度にすべての構成音を聴き取る必要はありません。
まずは一番低い音であるベースの単音だけに耳を澄ませてみましょう。
ベース音はコードの「ルート(根音)」であることが多く、『チェリー』のイントロやAメロでは「ド→ソ→ラ→ミ」というカノン進行特有の規則的な動きをしています。
ルート音が特定できたら、その上に乗る響きが「明るい(メジャー)」か「暗い(マイナー)」かを判別します。
ベース音に3度上の音を足すことで、原曲のコードが持つ感情の色合いと一致するかを確かめてください。
どうしてもベース音が聴こえにくい場合は、以下のツール活用術も併せて実践してみましょう。
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ステップ3:【リズム編】「8ビート」のキックとスネアを解剖する
最後に、楽曲のノリを生み出しているドラムパターンのリズムを分解して捉えます。
J-POPの基本である8ビートにおいて、低音の「ドン(キック)」と高音の「タン(スネア)」がどのタイミングで鳴っているかを特定します。
基本的には1・3拍目にキック、2・4拍目にスネアが配置されますが、キックの位置のズレこそが心地よいグルーヴの正体です。
キックとスネアの骨格が分かったら、上物であるハイハットの刻みに注目します。
「チッチッチッチッ」という4分音符なのか、「タカタカタカタカ」という8分音符なのかを聴き分け、DAWのグリッドに沿って正確なリズムを記録する練習を行いましょう。
リズムの視覚的な答え合わせについては、こちらの記事が非常に参考になります。
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答え合わせの重要性と、JBG音楽院の指導理念
一通りのコピーが終わったら、必ずネット上のコード譜や市販のスコアを見て「答え合わせ」を行ってください。
「マイナーだと思っていたけれど、実はセブンスコードだった」「キックが半拍ズレていた」という間違いの発見こそが成長に繋がります。
JBG音楽院では、こうしたデジタル環境での耳コピ実践と、アナログな音楽理論やイヤートレーニングを統合するDTAM(Desktop and Analog Music)の理念を掲げています。
独学では気づけない細かなコードのテンションやリズムのニュアンスも、段階的なカリキュラムとプロ講師からの的確なフィードバックを受けることで、正確に理解できるようになります。
感覚に頼る作曲から脱却し、ロジックとして名曲の構造をインプットする環境が、あなたのクリエイターとしての基盤を強固にします。
まとめ:まずは「1曲」完走を目指そう
今回は、スピッツの『チェリー』を題材にした、初心者向けの耳コピ練習ドリルを解説しました。
- メロディの抽出: 順次進行のメロディを実際に口ずさみ、鍵盤で音程を探る。
- コードの推測: カノン進行のベース音を特定し、3度を重ねて響きを判別する。
- リズムの分解: 8ビートのキックとスネアの位置を特定し、ハイハットの刻みを確認する。
最初は時間がかかって当然です。まずはこの3ステップを用いて、1曲を最後までコピーし切るという圧倒的な成功体験を味わってください。
その達成感が次のステップへのモチベーションとなり、あなたの音楽的な聴覚をさらに鋭く育ててくれるはずです。
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