作曲を始めた頃は毎日のように新しい発見があったのに、最近は同じことの繰り返しで成長を感じない。DAWを開いても、いつもの手癖のフレーズや、同じようなコード進行ばかりになる。練習を続けている人ほど、この壁にぶつかります。
この停滞には、実は2つの種類があります。一時的に調子を崩している「スランプ」と、成長の踊り場に入っている「プラトー現象」です。どちらなのかで打つ手が変わります。この記事では、自分の停滞がどちらなのかを見分ける方法と、プラトーだった場合に抜け出す3つの方法を整理します。
その停滞はスランプか、プラトーか
見分け方の目安は1つです。「前はできたことが、急にできなくなった」のか、「できなくはないが、ずっと同じところで足踏みしている」のか。
前者はスランプ寄りです。スランプは一時的な不調で、原因は疲れや気分、環境の変化などさまざまです。休息や時間で戻ることもありますし、理論を使って意図的に脱出する方法もあります。スランプ側の対処は理論を使って作曲スランプを脱出する方法で扱っています。
後者がプラトーです。実力が落ちたわけではないのに、伸びている実感だけが消えている状態です。毎日DAWに向かっているのに手応えがない、という人の多くはこちらに当てはまります。ここから先は、このプラトーの話を進めます。
プラトー現象とは 学習の過程で誰にでも起きる停滞期
プラトー現象とは、練習を続けているのに成長が止まったように感じる停滞期のことです。プラトーは「高原」という意味で、伸びていた曲線が平らになる様子を表しています。作曲に限った言葉ではなく、スポーツや語学など、技術の習得全般で起きる現象として知られています。
学習の成長は、右肩上がりの直線では進みません。ぐっと伸びる時期と、平らに見える時期が、階段のように交互に訪れます。いま伸びを感じないとしても、それは成長が終わったのではなく、階段の踊り場にいる状態です。次の一段の手前で、誰もが通る場所です。
作曲やDTMでは、こんな形で表れます。新しいフレーズが浮かばず手癖だけで作ってしまう。コード進行がいつも同じパターンになる。前は楽しかった作業に、ワクワクしなくなる。どれも技術が落ちたサインではなく、いまのやり方に慣れて、伸びしろが見えにくくなっているサインです。
なぜ練習しても上手くならないのか
原因は、脳が作業に慣れて処理を自動化することにあります。これは脳の効率化の仕組みで、それ自体は悪いものではありません。
始めたばかりの頃は、知らないことを知るだけで成長できます。コードを1つ覚える、操作を1つ覚える、それがそのまま上達につながります。ところがある程度の知識がつくと、脳は同じ作業を省エネで処理しようとします。考えなくても手が動く状態になると、新しい刺激が減り、成長の実感も薄れていきます。
つまり、同じ練習を同じやり方で続けているかぎり、脳は「これは知っている情報だ」と判断して、本気で処理しなくなります。抜け出すために必要なのは、練習の量を増やすことではなく、脳が新しい情報だと感じる刺激を入れることです。
なお、慣れではなく「聴き方」が原因で伸び悩むケースもあります。曲を聴いても情報を取り出せていないと、インプットが増えず、作るものも変わりません。心当たりがある場合は作曲が上達しない原因は聴き方にあるという視点もあわせて確認してみてください。
停滞期を抜け出す3つの方法
プラトー脱出の基本は、脳に「これは新しい情報だ」と感じさせることです。刺激の質を入れ替える3つの方法を紹介します。
1. 普段やらないジャンルを分析する
いつもJ-POPを作っているなら、ジャズのコード進行や、EDMの音作りを聴いて、どうなっているのかを分析してみてください。自分の引き出しにない音楽を取り込むと、脳は強い刺激を受けます。すでに持っている知識と新しい知識がつながって、いつもと違う発想が出てきます。
2. 知っている理論を学び直す
なんとなく使っている理論を、もう一度きちんと学び直すと、見え方が変わります。「なぜこのコード進行が心に響くのか」を言葉で説明できるようになると、感覚だけで作っていた頃とは違う景色が見えてきます。同じ音でも、理由が分かると次に打つ手が増えます。
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3. 第三者に客観的な評価をもらう
一人で悩んでいると、思考は同じところを回りがちです。自分の曲を誰かに聴いてもらい、客観的な感想をもらうと、自分では気づけなかった点が見えてきます。「ここはこうしたほうがいい」という一言が、足踏みしていた状態に方向を示してくれます。
独学だと、この客観的な視点を得る機会がどうしても少なくなります。同じ曲を何度も聴き返すうちに、何が良くて何が物足りないのか、自分では判断がつかなくなるからです。
まとめ
練習しているのに上手くならないと感じたら、まずスランプかプラトーかを見分けるところから始めると、状況が整理しやすくなります。急にできなくなったならスランプ、同じ場所で足踏みしているならプラトーです。
プラトーは、成長が階段状に進むときに必ず通る踊り場で、才能の問題ではありません。脳がいまのやり方に慣れて、刺激が減っているだけの状態です。普段やらないジャンルを分析する、知っている理論を学び直す、第三者の評価をもらう。どれか1つ、やり方を変えるところから試してみてください。停滞を感じていること自体が、次の一段の手前まで来ている証拠でもあります。
よくある質問
Q. 作曲のスランプとプラトーはどう見分けますか
A. 「前はできたのに急にできなくなった」ならスランプ寄り、「できなくはないが同じところで足踏みしている」ならプラトー寄りです。スランプは休息で戻ることもありますが、プラトーはやり方を変える必要があります。
Q. 作曲のプラトーはどれくらいの期間続きますか
A. 人や状況によって幅があり、数週間から数ヶ月に及ぶこともあります。期間そのものより、同じやり方を続けず刺激を変えられたかどうかが、抜けるタイミングを左右します。
Q. 練習量を増やせば停滞期は抜けられますか
A. 同じやり方のまま量を増やしても、脳が慣れているため効果は出にくいです。量ではなく、普段やらないジャンルの分析や理論の学び直しなど、刺激の質を変えるほうが抜けやすくなります。
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