
【リズム聴き取り編】グルーヴ感とアレンジのキレを磨く!多様なリズムパターンのコピー練習法
「メロディやコードは何となくコピーできるけど、ドラムやベースのリズムがどうなっているのかサッパリ分からない…」「DTMでリズムを打ち込んでも、なんだか平坦でノリが悪い」「もっとキレのあるアレンジをしたいけど、リズムの引き出しが少ない…」そんな悩みを抱えていませんか?楽曲の心臓部とも言える「リズム」。このリズムを正確に聴き取り、再現する能力は、作曲やアレンジのクオリティを劇的に向上させるための重要なスキルです。ドラムやベース、カッティングギターなどが刻むリズムパターンを正確に聴き取り、それを分析・コピーする練習は、リズム感と楽曲全体のグルーヴ感を養うのに非常に効果的です。この記事では、8ビート、16ビートといった基本的なパターンから、シンコペーションやポリリズムといった少し複雑なものまで、多様なジャンルのリズムパターンを題材に、DTMでの効率的な再現方法も含めて解説します。JBG音楽院でも徹底的に行うリズムトレーニングの考え方も交えながら、あなたの音楽に躍動感を与える方法をご紹介します。
なぜリズムの聴き取りがグルーヴとアレンジの「キレ」を生むのか?
音楽の三大要素は「メロディ」「ハーモニー」「リズム」ですが、その中でもリズムは楽曲全体の土台となり、時間的な流れを支配する最も根源的な要素です。どんなに美しいメロディやハーモニーも、それを支えるリズムがしっかりしていなければ、その魅力は半減してしまいます。リズムを正確に聴き取る能力は、なぜ作曲やアレンジの「キレ」に繋がるのでしょうか?
- 楽曲の「ノリ」の正体を理解できる: 人が音楽を聴いて「心地よい」「踊りたくなる」と感じる感覚、すなわち「グルーヴ」の正体は、多くの場合、リズムの緻密な構造にあります。ドラム、ベース、ギターなどがどのように絡み合い、独特の揺れやタメを生み出しているのかを聴き取れるようになることで、グルーヴの本質を理解できます。
- アレンジにメリハリと推進力が生まれる: Aメロではシンプルなリズム、サビではより複雑で手数が多いリズム、といったように、セクションごとにリズムパターンを変化させることは、アレンジに展開とダイナミクスを生むための常套手段です。多様なリズムパターンを聴き分け、ストックしておくことで、アレンジの引き出しが格段に増えます。
- DTMの打ち込みがより人間的になる: プロの生演奏のリズムを正確にコピーする練習は、ベロシティの強弱や、ジャストタイミングからの微妙なズレといった「人間味」を学ぶ絶好の機会です。これにより、機械的な打ち込みから脱却し、生命感あふれるリズムトラックを作成できるようになります。
このように、リズムを聴き取る力は、単なる耳コピの技術に留まらず、作曲家・アレンジャーとしての総合的な実力を底上げする上で不可欠です。この能力は、当音楽院のブログ記事である「「良い耳」が作曲の質を変える!プロに必要な聴音能力と効果的な耳トレ方法」でも解説している「良い耳」を構成する中心的な要素です。

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リズムコピー練習の準備:DAWと耳を研ぎ澄ます
効果的なリズムの耳コピ(リズムコピー)を行うためには、DAW(楽曲制作用ソフト)を最大限に活用するのが現代的なアプローチです。始める前に、いくつかの準備をしておきましょう。
DAWの活用:ループ、スロー再生、グリッド表示
複雑なリズムパターンを一度聴いただけですべてを把握するのは困難です。DAWに分析したい楽曲を取り込み、特定の区間(1~4小節程度)を繰り返し再生する「ループ機能」を使いましょう。また、速いフレーズが聴き取れない場合は、「スロー再生機能」でテンポを落として聴くのが非常に有効です。そして、DAWのグリッド(拍や小節を示す線)表示をONにして、どの音がどのタイミングで鳴っているのかを視覚的に確認しながら作業を進めます。
各リズム楽器の役割を理解する:ドラム、ベース、ギター、パーカッション
リズムはドラムだけで作られているわけではありません。楽曲のグルーヴは、複数のリズム楽器のコンビネーションによって生まれます。聴き取る際には、それぞれの楽器の役割を意識することが重要です。
- ドラム:楽曲の土台。特にキック(バスドラム)、スネア、ハイハットの3つの基本的なパターンをまず聴き取ることが重要です。
- ベース:ドラムのキックと連携し、リズムとハーモニーの橋渡しをする役割。ルート音をどのタイミングで弾いているかに注目します。
- ギター/ピアノ:コードカッティングやコンピングで、リズミカルな「合いの手」を入れ、グルーヴを補強します。
- パーカッション:タンバリンやシェイカー、コンガなどが加わることで、リズムに彩りと華やかさが生まれます。
【実践ドリル】基本的なドラムパターンを耳コピする
まずは、リズムの基本であるドラムパターンの耳コピから始めましょう。キック、スネア、ハイハットの3点に絞って聴き取るのが最初のステップです。
ドリル1:8ビートの聴き取りと打ち込み
ロックやポップスの基本となるのが8ビートです。多くの曲で、スネアは2拍目と4拍目に鳴っています(ドン・タン・ドン・タン)。まずはこのスネアの位置を基準に、キックがどのタイミングで鳴っているか、ハイハットがどのように8分音符を刻んでいるかを聴き取り、DAWに打ち込んでみましょう。
ドリル2:16ビートの聴き取りと打ち込み
ファンクやR&B、近年のポップスで多用されるのが16ビートです。ハイハットがより細かく16分音符で刻まれるのが特徴で、キックやスネアの位置もより複雑になります。スロー再生機能も活用しながら、どの16分音符のタイミングで各楽器が鳴っているのかを根気強く聴き取りましょう。
ドリル3:シャッフル(ハーフタイムシャッフル)の聴き取り
ブルースやロックンロール、一部のポップスで聴かれる「跳ねた」リズムがシャッフルです。これは3連符をベースにしたリズムで、「タッカタッカ」という独特のグルーヴを持っています。DAWのスウィング機能などを参考にしながら、その跳ね具合を再現する練習をします。特に、ハーフタイムシャッフルは非常に強力なグルーヴを生み出すパターンです。
アレンジのキレを磨く!シンコペーションとポリリズムの聴き取り
基本的なリズムパターンに慣れたら、より複雑でプロフェッショナルなリズムの聴き取りに挑戦してみましょう。
シンコペーション:リズムに「食い込み」を生むテクニック
シンコペーションとは、拍の弱部や拍の裏にアクセントが置かれることで、リズムが前に「食い込む」ように聴こえるテクニックです。これにより、リズムに緊張感とドライブ感が生まれます。メロディやリフが、本来の拍よりも少し早く始まる箇所に注目してみましょう。これがシンコペーションを聴き取るコツです。
ポリリズム(クロスリズム)入門:異なる拍子が交差する緊張感
ポリリズムとは、異なる拍子が同時に演奏される、高度なリズムテクニックです。例えば、全体は4拍子なのに、特定の楽器だけが3拍子のフレーズを繰り返している、といった状況です。これにより、独特の浮遊感や複雑な緊張感が生まれます。ポリリズムの聴き取りは非常に難易度が高いですが、各パートを個別に聴き、それぞれの拍子を数える練習をすることで、徐々にその構造を理解できるようになります。
音楽のリズム感トレーニング:楽器ごとのコピー練習法
優れたリズム感のトレーニングには、ドラム以外のパートのコピー練習も非常に有効です。
ベースラインのコピー:ルート音とリズムの連携を学ぶ
ベースラインは、ドラムのキックパターンと密接に連携しています。ベースがどのタイミングで音を弾き、どのタイミングで休んでいるのかを聴き取ることで、リズムの骨格に対する理解が深まります。
ギターカッティングのコピー:キレのあるグルーヴの秘訣
ファンクミュージックなどで聴かれるギターカッティングは、グルーヴの「キレ」を生み出す上で非常に重要な役割を果たします。16分音符の細かい休符や、ゴーストノート(ブラッシング)のニュアンスを正確にコピーする練習は、高度なリズム感を養います。
ピアノ/キーボードのコンピングコピー:ハーモニーとリズムの融合
ジャズピアノなどで聴かれるリズミカルなコード演奏(コンピング)をコピーするのも良い訓練です。コードというハーモニー要素が、いかにリズムと一体となってスウィング感を生み出しているのかを体感できます。
JBG音楽院で学ぶ、プロレベルのリズムトレーニング
JBG音楽院では、リズム感を作曲家にとっての「運動神経」と捉え、そのトレーニングを徹底的に行います。単にリズムパターンを覚えるだけでなく、それが楽曲全体の中でどのように機能し、グルーヴを生み出しているのかを深く理解することを目指します。
私たちのカリキュラムでは、基本的なリズム譜の読み書きから、様々なジャンルのリズム分析、ポリリズムのような高度な概念の学習、そしてDAWを使った実践的なリズムプログラミングまで、体系的に学ぶことができます。特に、生演奏のグルーヴをMIDIデータで再現するテクニックは、DTMでの制作において非常に重要なスキルです。この点については、当音楽院のブログ記事である「【DTM連携編】楽器演奏の「揺らぎ」と「呼吸」をMIDIデータに吹き込むプロの打ち込みテクニック」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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講師からのフィードバックを通じて、自分のリズム感の弱点を客観的に把握し、効果的に改善していくことが可能です。
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まとめ:リズムを制する者は、アレンジを制す
楽曲のグルーヴ感とアレンジのキレを磨くための、多様なリズムパターンのコピー練習法について解説してきました。ドラムやベース、ギターなどが刻むリズムを正確に聴き取り、分析・コピーする練習は、単なる耳コピ技術の向上に留まらず、あなたの音楽的なリズム感を根底から鍛え上げます。
基本的な8ビートから、複雑なシンコペーションやポリリズムまで、様々なリズムの引き出しを持つことは、作曲家・アレンジャーとしての大きな強みとなります。JBG音楽院では、このようなリズムトレーニングも徹底的に行い、あなたの音楽に本物のグルーヴを宿すお手伝いをします。まずは、あなたの好きな曲のドラムパターンを、机を叩いて真似てみることから始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたの楽曲をより一層魅力的なものへと変えるきっかけになるはずです。
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