作曲が上達しないのはなぜ?プロの「聴き方」を盗む、楽曲分析(アナライズ)入門
「好きなアーティストの曲を何百回も聴いているのに、自分の作曲スキルがなかなか上達しない…」「名曲のどこが凄いのか、感覚的には分かるけど言葉で説明できない」そんな風に、インプットの量とアウトプットの質が比例しない、もどかしい思いをしていませんか?その原因は、音楽の「聴き方」にあるのかもしれません。ただ音楽を「聴く」ことと、作曲スキル向上のために音楽を「分析(アナライズ)する」ことの間には、大きな違いがあります。この記事では、あなたの「作曲が上達しない」という悩みを解決するため、プロが実践する音楽の聴き方、すなわち楽曲分析の具体的な手順と着眼点を徹底解説します。名曲から作曲テクニックを「盗む」ための、具体的な方法がここにあります。
なぜ「楽曲分析」が作曲スキルを飛躍させるのか?
楽曲分析とは、いわば名曲という完成された建築物の「設計図」を読み解く作業です。なぜこの建物は美しく、人々を魅了するのか。その構造、素材、デザインの意図を一つひとつ解き明かしていくことで、自分の建築(作曲)に応用できる普遍的な法則や、独創的なテクニックを発見することができます。ただ漠然と聴くだけでは「良い曲だな」で終わってしまうところを、「なぜ良いのか?」を論理的に理解することで、そのエッセンスを自分の武器として取り入れることができるのです。この音楽構造の理解こそが、作曲スキルを飛躍的に向上させる鍵となります。
プロが実践する楽曲分析の5ステップ
では、具体的な楽曲分析のやり方を見ていきましょう。プロの作曲家が行う分析は多岐にわたりますが、ここでは基本的な5つのステップからなるフレームワークをご紹介します。この手順に沿って分析を進めることで、網羅的かつ体系的に楽曲を理解することができます。
- 全体像の把握(楽曲形式と構成): まずは楽曲全体の設計図を確認します。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビといったセクションが、それぞれ何小節で、どのような順番で構成されているのかを書き出します。
- ハーモニーの分析(コード進行と機能): 次に、楽曲の骨格となるコード進行を分析します。各セクションのコードを耳コピや楽譜で確認し、キーを特定した上で、各コードの機能(トニック、ドミナントなど)を分析します。
- メロディの分析(スケール、モチーフ、展開): 楽曲の顔であるメロディが、どのようなスケールやモチーフ(動機)に基づいて作られ、どう展開していくのかを分析します。
- リズムとグルーヴの分析(ビート、パターン): ドラム、ベースなどが、それぞれどのようなリズムパターンを演奏し、どう絡み合って楽曲のグルーヴを生み出しているのかを分析します。
- サウンドプロダクションの分析(アレンジ、音色、ミックス): 各楽器がどのように配置され(アレンジ)、どのような音色で、どのような音響空間(ミックス)に存在しているのかを分析します。
これらのステップを順に行うことで、一つの楽曲が持つ多層的な構造を深く理解することができます。
【実践】各ステップにおける具体的な着眼点
上記の5つのステップについて、プロはどのような点に注目して分析しているのでしょうか。さらに具体的な着眼点を解説します。
ハーモニー分析の着眼点:なぜこのコードが使われているのか?
コード進行をただ書き出すだけでなく、「なぜここでこのコードが使われているのか?」という意図を読み解くことが重要です。ダイアトニックコード以外のコードが使われていれば、それは借用和音なのか、セカンダリードミナントなのか。これらの応用的なコード理論の知識があると、分析の解像度が格段に上がります。これらのテクニックについては、当音楽院のブログ記事である「作曲アレンジのコツは「ちょい足し」にあり。定番コード進行をおしゃれにする基礎テクニック」でも詳しく学ぶことができます。
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メロディ分析の着眼点:心を掴む旋律の秘密
心を掴むメロディには、多くの場合、計算された工夫が隠されています。どのようなスケールやモードが使われているのか?短いモチーフをどのように反復・変形させて展開しているのか?これらの点を注意深く分析することで、メロディ作りのヒントを数多く得ることができます。多様なスケールやモードの活用法については、当音楽院のブログ記事である「作曲初心者が最初に学ぶべきスケールとは?メロディの作り方が変わる音楽理論の基礎」で詳しく解説しています。
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JBG音楽院で学ぶ、実践的なアナライズ能力
JBG音楽院では、このような楽曲分析(アナライズ)の能力を、作曲における非常に重要なスキルと位置づけています。私たちのカリキュラムでは、単に音楽理論を知識として学ぶだけでなく、その理論を使って名曲を分析し、自分の作品に応用する訓練を繰り返し行います。
講師がプロの視点から楽曲をどのように分析しているかを具体的に示し、受講生自身も課題として楽曲分析レポートを作成します。それに対して講師がフィードバックを行うことで、分析の精度や着眼点を養っていきます。このプロセスを通じて、受講生は「良い曲」の構造を論理的に理解し、自身の作曲スキルを客観的に見つめ直す視点を手に入れることができます。
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まとめ:名曲研究を習慣化し、作曲家としての引き出しを増やそう
プロの視点で行う楽曲分析(アナライズ)の具体的な手順と着眼点について解説してきました。コード進行、メロディ、構成、アレンジ、サウンドプロダクションなど、多角的な視点から楽曲を深く読み解くことで、あなたは単なるリスナーから、作り手の意図を汲み取る学習者へと進化することができます。この分析力の向上こそが、自身の作曲スキルを客観的に評価し、効果的にレベルアップさせるための鍵となります。
作曲のための名曲研究は、偉大な先人たちから直接レッスンを受けるようなものです。今日から、あなたの好きな曲を一つ選び、この記事で紹介したステップに沿って分析を始めてみてはいかがでしょうか。最初は難しく感じるかもしれませんが、続けていくうちに、音楽がこれまでとは全く違って聴こえてくるはずです。その発見の一つひとつが、あなたの作曲家としての貴重な財産となるでしょう。
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