
打ち込みの基礎!MIDIプログラミング講座
「鍵盤が弾けないけれど、自分の頭の中にあるフレーズを曲にしたい」――そんなdtm 初心者の願いを叶えてくれるのがMIDIプログラミングです。マウス操作だけでリズムもメロディも作れるので、楽器経験ゼロでも安心。今回は、MIDI の原理から入力・調整テクニックまでを体系的に整理しました。仕組みがわかるとピアノロールがぐんと扱いやすくなり、思い通りのサウンドが描けるようになります。
1. MIDI って何をしているの?
1‑1. 「音」ではなく「演奏情報」を記録
MIDI はMusical Instrument Digital Interfaceの略称で、音そのものではなく「どの鍵盤をいつ・どれくらいの強さで押したか」という数値データをやり取りします。たとえば同じ C4 を入力しても、あとからピアノ音源をギター音源に差し替えれば雰囲気は一変。データが軽く編集も自在なので、打ち込みに最適なフォーマットです。
1‑2. DAW と音源プラグインの橋渡し役
DAW ソフト(Digital Audio Workstation)で入力した MIDI 情報は、ピアノやドラムなどのソフト音源(VST / AU)に送信されて初めて音になります。逆に言えば「音が出ない」ときは MIDI ルーティング と 音源の割り当て を確認すると解決しやすいでしょう。
2. 打ち込み3つの入力スタイル
2‑1. マウスで描く「ステップ入力」
- メリット:鍵盤不要、音程ミスを防ぎやすい。
- 手順:ピアノロール上で音符をクリック → 長さをドラッグで調整。
- 活用例:コードの分散和音、ストリングスの持続音など。
2‑2. QWERTY キーボードでの「リアルタイム入力」
- PC キーを MIDI 鍵盤代わりにする方法。Z〜M が白鍵、数字列が黒鍵に割り当てられる DAW も多いです。
- タイミングは後述のクオンタイズで補正可能なので、気軽に演奏してみましょう。
2‑3. MIDI キーボードを使う「演奏入力」
やはり楽器感覚で弾けるのは大きな利点。ベロシティ(打鍵の強さ)が自然に入るため、あとから調整がラクになります。ミニ鍵盤なら場所を取らず 5,000 円前後で入手できます。
3. リズム打ち込みのコツ
3‑1. キック・スネアの配置は「ドン・タン」が基本
BPM 90〜120 くらいの 4/4 であれば、1拍目と3拍目にキック、2拍目と4拍目にスネアを置く 8 ビートが最初の土台になります。ハイハットで 8 分を刻みつつ、アクセントを裏拍にずらすとポップスのグルーヴにぐっと近づきます。
3‑2. クオンタイズでタイミングを整える
リアルタイム入力後はノートをすべて選択し、1/16 もしくは 1/8 グリッドにクオンタイズ。「50〜70%」などスイング値を加えると自然な揺れも演出できます。
3‑3. ベロシティで抑揚を付ける
- キック:100〜110
- スネア:90〜100
- ハイハット:60〜80(裏拍は 50 前後に弱め)
数値は DAW により上限が異なりますが、メイン > 裏拍 の強弱関係を保つと立体感が増します。
4. メロディ入力とピアノロール活用法
4‑1. 音程はダイアトニックスケールで迷いを減らす
キー C なら白鍵のみ、キー G なら F♯ を含む 7 音のスケールに限定すると、外れにくいメロディが素早く組めます。
4‑2. 半拍や裏拍から「食って」入る
全拍アタマに置くと単調に感じたら、ノートを半拍左へずらしてみてください。「聞き手より 0.5 拍先に歌い始める」イメージで、リズミックなニュアンスが生まれます。
4‑3. ヒューマナイズ機能で微調整
ベロシティ・タイミングをランダマイズして3〜5%だけズラすと、機械的な打ち込み特有の硬さが緩和されます。やりすぎるとヨレるのでプレビュー確認は必須です。
5. ベロシティ・クオンタイズ応用テクニック
5‑1. スネア直前にゴーストノート
ハイハットを 1〜2 音だけ弱く(30〜40)入れると、ドラム全体が生き生きします。ファンクやロックに効果的。
5‑2. ピアノの人差し指アクセント
コード分散の 1 音目を 10〜15 高く設定し、ほかの音は中ベロシティにすると「弾いた」感じが抜けます。
5‑3. ベースは前ノリ or 後ノリでグルーヴを調整
キックより 5〜10 tick 後ろに置くとタイトなロック、逆に前へ寄せると跳ねるファンク寄りになります。耳で違いを覚えると応用範囲が広がります。
6. よくある質問 Q&A
Q1. 打ち込みだけで「生っぽさ」を出す方法は?
A. ベロシティとタイミングだけでなく、音色バリエーションを使い分けましょう。ドラム音源のラウンドロビン(複数サンプル切替)を ON にする、ギター音源でレガート奏法を指定するなどでリアリティが向上します。
Q2. ベロシティ値が合わず音量差が大きすぎる…
A. ミキサー側でベロシティスケールを 80〜90% に縮小するか、ベロシティリミッターを使うとバランスが取りやすくなります。
まとめ
- MIDI は演奏情報を扱うため、あとから音色もキーも自由に変更できる。
- 入力はステップ・リアルタイム・演奏の3方式。目的と環境で使い分けよう。
- リズムはクオンタイズ + ベロシティで生命感を加えるのがカギ。
- メロディはスケール制限と裏拍スタートで外れにくく動きのあるラインに改善。
- 微細なタイミングや強弱の揺らぎが、打ち込みを「音楽」に変える最終スパイス。
今日覚えたテクニックを使い、8 小節のドラム & ベースにメロディを乗せてみましょう。マウスだけでも十分表現できることに気づくはずです。
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