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Vaundy「タイムパラドックス」をプロが本気で分析したら発見が多すぎた

2025.08.17

今回は、多くの音楽ファンを魅了し続けるアーティスト、Vaundyさんの楽曲「タイムパラドックス」を、プロの視点から深く掘り下げてみたいと思います。この曲は、映画『ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』の主題歌としても話題になりましたね。

「映画の主題歌」と聞くと、壮大なストリングスやたくさんの楽器が使われた豪華なアレンジを想像する方も多いかもしれません。しかし、この「タイムパラドックス」は、驚くほどシンプルな編成で作られています。それなのに、なぜこんなにも私たちの心を掴み、何度も聴きたくなるのでしょうか?

この記事では、その秘密をコード進行やサウンドの観点から一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。この記事を読み終える頃には、この曲が持つ新たな魅力に気づき、今までとは少し違った聴こえ方がするかもしれません。


まずは曲の全体像から – シンプルなのに奥深いアレンジの秘密

この曲を聴いて、まず耳を引くのがその楽器編成のシンプルさです。

冒頭は美しいストリングスでしっとりと始まりますが、歌が始まるとそのストリングスは姿を消し、主にボーカル、コーラス、ピアノ、ベース、ドラムという、非常にミニマムなバンドサウンドで物語が進んでいきます。驚くべきことに、ポップスでは定番ともいえるギターが一切使われていないのです。

映画の主題歌という大きな舞台でありながら、このシンプルな編成を選んだ点に、Vaundyさんの音楽に対する強いこだわりと自信が感じられます。音数が少ないからこそ、一つひとつの楽器のフレーズや音色が際立ち、楽曲のグルーヴをダイレクトに感じることができます。この「引き算の美学」こそが、「タイムパラドックス」の大きな魅力の土台となっているのです。


コード進行の分析 – なぜこんなに心地よくて新しい響きがするの?

それでは、この曲の心臓部ともいえるコード進行の秘密に迫っていきましょう。一聴すると心地よく流れていくように聴こえますが、実はたくさんの巧妙な仕掛けが隠されています。

この曲の「顔」!頻出する「II△(ツーメジャー)」の正体

この曲を最も特徴づけているのが、「II△(ツーメジャー)」というコードの存在です。

少しだけ音楽理論の話になりますが、多くのポップスでは、その曲のキー(調)に沿った基本的なコード(ダイアトニックコード)が使われます。この曲のキーはGメジャー(ト長調)なのですが、本来、キーがGメジャーの場合、2番目のコード(II)は「Am(エーマイナー)」という少し切ない響きのコードになるのが一般的です。

しかし、「タイムパラドックス」では、あえてそのルールを破り、明るい響きの「A(エーメジャー)」、つまり「II△」が何度も使われています。このコードが鳴るたびに、曲全体がパッと明るくなり、どこか懐かしいのに新しい、不思議な浮遊感とロックな力強さが生まれるんです。

さらに面白いのは、曲の前半ではこのAメジャーコードの「3度の音(メジャーかマイナーかを決定づける音)」をあえて抜いた「A(omit3)」という形で演奏している点です。これにより、聴き手に「これはメジャーなのかな?マイナーなのかな?」と考えさせつつ、曲が進むにつれてハッキリとメジャーコードを鳴らすことで、徐々に世界が色付いていくようなドラマチックな効果を生み出しています。

最大の聴きどころ!ジェットコースターのようなBメロの仕掛け

この曲の分析で特に興味深かったのが、Bメロのパートです。ここはまるで音楽のジェットコースターのよう。

まず耳を惹くのが、ベースの音です。ここでは、ベースが「F#→G→A→B→C→D→E」と、ひたすら階段を一段ずつ上っていくような動き(順次進行)をしています。この力強く上昇していくベースラインが、背骨のようにBメロ全体を支えているんですね。

そして、その大胆なベースラインの上で、コードはまるで万華鏡のように次々と表情を変えていきます。まるで目まぐるしく転調を繰り返しているかのような、スリリングな展開です。本来であれば、あるコードの次にはこのコードに進む、という一定の「お約束」があるのですが、このBメロではそのお約束を気持ちよく裏切りながら、それでいて破綻なく美しく繋がっています。

この「上昇し続けるベースライン」という絶対的な軸があるからこそ、その上でどれだけ自由なコードを鳴らしても不思議とまとまって聴こえる。Vaundyさんの作曲家としての発想力の豊かさが、このBメロに凝縮されていると言えるでしょう。

ブルージーな響きの秘密「IV7(フォードミナントセブンス)」

Dメロでは、また雰囲気が少し変わり、グッとブルージーで大人っぽい響きになります。この雰囲気を作り出しているのが「C7(シーセブンス)」というコードです。

これは音楽理論で言うと「IV7」という種類のコードで、ブルース音楽では非常によく使われる響きです。このコードが入ることで、曲に少し「気だるさ」や「哀愁」といったスパイスが加わり、楽曲の表現の幅がぐっと広がっています。ただ明るく楽しいだけじゃない、Vaundyさんの音楽の奥深さを感じられるポイントです。

音楽の仕組み(音楽理論)を少し知っていると、こうしたコード一つひとつの役割が分かり、表現の幅がぐっと広がります。JBG音楽院 池尻大橋校では、そうした理論も「なぜそうなるのか」という根本から、実践的に学べるカリキュラムを用意しています。

そして、このDメロの後半には、ベースが半音ずつ下がっていく「クリシェ」という手法も使われており、これがまたたまらなくエモーショナルな雰囲気を演出しています。泣かせたいときによく使われる王道の進行ですが、この曲のポップな流れの中で一瞬だけ現れることで、より一層心に響きます。


メロディーの分析 – Vaundyならではの「バウンス感」の作り方

「タイムパラドックス」の心地よいグルーヴは、Vaundyさんの歌うメロディーによって作られている部分も非常に大きいです。

この曲のメロディーは、16分音符が少し跳ねるようなリズム(シャッフルやバウンスと言います)が基本になっています。「タタタタ」と均等に刻むのではなく、「タッタッ タッタッ」と弾むようなリズム感が、曲全体の楽しげな雰囲気の核となっています。

そして、さらに驚くべきことに、この曲のメロディーは、突き詰めるとたった3つの短いリズムパターン(モチーフ)を様々に組み合わせて作られているんです。まるでブロックを組み立てるように、限られた素材から多彩なメロディーラインを生み出しています。これにより、曲全体に一貫性が生まれ、聴き手は自然と心地よさを感じるのです。

音の高さ(音程)で聴かせるというよりは、言葉をリズムに乗せて配置していくラップのような作り方に近いかもしれません。だからこそ、歌詞がスッと耳に入ってくるし、思わず口ずさみたくなるのでしょう。


サウンドの深掘り – 各楽器の役割と隠された「謎の音」

最後に、各楽器の演奏やサウンドメイクに隠された、さらに細かい秘密を探っていきましょう。

歌い出しの罠?7/8拍子のリズムトラップ

「カラオケでこの曲の歌い出しがうまく入れない…」と感じた方はいませんか?実はそれ、あなたのリズム感が悪いわけではないかもしれません。

Aメロの歌い出し「あのね」が入る直前、実は一小節だけ「7/8拍子」という変拍子になっています。ほんの少しだけリズムが短くなっているんですね。これは意図的に仕掛けられた「リズムトラップ」で、聴き手に「おや?」と思わせる面白い効果を生んでいます。ライブでもこのアレンジで演奏されていることから、計算された遊び心であることがわかります。

カラオケで歌う際は、ドラムのカウントの音よりも、直前のピアノのメロディーをガイドにすると、スムーズに入ることができますよ。

グルーヴの立役者!ベースの「指の音」に注目

この曲のノリを支配しているのは、間違いなくベースです。低い音で曲の土台を支えているのはもちろんですが、ぜひ注目して聴いてみてほしいのが、ベースの高音域の成分です。

ベーシストが弦を指で弾く瞬間の「カチッ」という音や、指が弦をこする「キュッ」という音。こうしたアタック音が、実はリズムをより明確に、そしてグルーヴィーに聴かせる上で非常に重要な役割を果たしています。

楽器の数が多い曲では、他の楽器とぶつかるためにこの高音域の成分はカットされがちですが、この曲のようにシンプルな編成だからこそ、ベースの生々しい指の音まで活かすことができ、それがたまらない色気と躍動感に繋がっているのです。

あなたは聴こえる?曲に隠された「謎の音」

そして最後に、とても不思議な発見がありました。曲の後半、3回目のAメロあたりから、「ヴォー」という、パイプオルガンのような、人の声のような、不思議な持続音がうっすらと聴こえてくるんです。

これは一体何の音なのでしょうか?意図的なアレンジなのか、何かの偶然の産物なのか…。真相はVaundyさん本人にしか分かりませんが、こうした「謎」を見つけるのも、音楽を深く聴き込む醍醐味の一つです。次に聴くときは、ぜひこの「謎の音」を探してみてください。


まとめ

Vaundyさんの「タイムパラドックス」は、一見するとシンプルでキャッチーなポップソングですが、その裏側には、計算し尽くされたコード進行、リズムへの深いこだわり、そして随所に散りばめられた音楽的な遊び心があふれていました。

  • ギターレスのシンプルな編成が生み出す、ダイレクトなグルーヴ感。
  • 本来のルールを破った「II△」コードがもたらす、明るく新しい響き。
  • 上昇し続けるベースラインを軸にした、スリリングなBメロの展開。
  • 3つのリズムパターンだけで構成された、統一感のある心地よいメロディー。
  • ベースのアタック音や隠された「謎の音」など、サウンドへのこだわり。

これらの要素が複雑に絡み合うことで、この曲の唯一無二の魅力が生まれているのですね。

音楽は、ただなんとなく聴くだけでももちろん楽しいですが、少しだけ作り手の意図や工夫に目を向けてみると、そこには多くの発見が待っています。この記事が、あなたが音楽をもっと深く楽しむための、ちょっとしたきっかけになれたら幸いです。

また、今回の記事で解説した内容は、JBG音楽院の公式YouTubeチャンネルの動画で、さらに詳しく学ぶことができます。動画では、実際にピアノの音を聴きながら、図解や譜面を用いて、より体感的に理解することができます。ぜひチェックしてみてください。


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