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ドラマ劇伴の作り方!セリフを邪魔せず感情を操る「引き算」の作曲術

2026.01.11

ドラマ劇伴の作り方!セリフを邪魔せず感情を操る「引き算」の作曲術

「渾身のメロディを作ったのに、実際のシーンに当てると役者の声と喧嘩してしまう」
「悲しいシーンで悲しい曲を流したら、演出が安っぽすぎると言われた」

実写ドラマの劇伴(サウンドトラック)制作において、多くの作曲家がぶつかる壁。それは「音楽は主役ではない」という事実との向き合い方です。

アニメやゲーム音楽とは異なり、実写ドラマには「生身の役者の演技」と「セリフ(音声)」という絶対的な主役が存在します。ここで求められるのは、自己主張する音楽ではなく、空気のようにシーンに溶け込み、視聴者の無意識に働きかける高度な技術です。

この記事では、独学では気づきにくい「セリフを立てるための周波数管理」や、複雑な感情を表現する「心理描写のコードワーク」について解説します。

最大の敵は「1kHz」。声の帯域を空けるアレンジ術

ドラマ劇伴において、最もやってはいけないミス。それは「セリフを聞き取りにくくすること」です。

人間の話し声の芯となる周波数は、おおよそ1kHz〜4kHz付近に集中しています。もしあなたが、ピアノの右手やシンセサイザーのリード音で、この帯域を埋め尽くすようなメロディを奏でていたら、それは役者の声を「マスキング(遮蔽)」してしまいます。

「引き算」でスペースを作る

プロの劇伴作家は、以下のように楽器の配置を工夫して「声の居場所」を作ります。

  • 音域の棲み分け:ピアノは高音域(キラキラした装飾)と低音域(ベース)を中心に使い、中音域はあえて弾かない。
  • 楽器の選択:声と周波数が被りやすいバイオリンやオーボエを避け、チェロや低音のブラスなど、声より低い楽器を主役に据える。
  • メロディの間引き:役者が喋っている間はメロディを動かさず、セリフの切れ目(ブレス)の瞬間にオカズを入れる。

「悲しい」だけじゃない。心理描写(アンダースコア)の極意

アニメ劇伴が「分かりやすい記号(楽しい!悲しい!)」だとしたら、ドラマ劇伴は「行間を読む文学」です。

例えば、「笑っているけれど、心の中では泣いている」というシーン。ここで明るい曲を流せば表面的な描写になりますが、実写の現場では、あえて不安定な不協和音を薄く敷くことで、笑顔の裏にある狂気や悲しみを表現することがあります。

「解決しない」美学

ポップスではドミナントからトニックへ「解決」することで気持ちよさを生みますが、ドラマの心理描写では、あえて不安定な響きのまま浮遊させることが多々あります。
「この感情に名前をつけない」という曖昧さこそが、実写のリアリティを引き立てるのです。

予算とリアリティ。「小編成」こそ腕が試される

ハリウッド映画のような大作を除き、多くの国内ドラマやインディーズ映画では、予算や世界観の都合上、フルオーケストラを使わない(使えない)ケースも多いです。

「ピアノとチェロだけ」「アコースティックギター1本だけ」といった限られた編成(小編成)で、いかにリッチに、かつ説得力のある音を作れるか。ここにごまかしの効かない作曲家の基礎力が表れます。

派手な音圧で押し切るのではなく、一音のボイシング、リバーブの質感、そして演奏のニュアンスだけで空間を埋める技術。これこそが、長く業界で生き残る作家の条件です。

「映像のための音楽」を体系的に学ぶ

「曲は作れるけれど、映像に合わせると何かが違う」。その違和感の正体は、音楽的な知識不足ではなく、「映像演出的な視点」の欠如かもしれません。

JBG音楽院では、単なる音楽理論だけでなく、実際の映像に対してどのようにアプローチすべきかという「劇伴特有の作法」を、現役のプロから直接学ぶことができます。「なぜここで音を抜くのか?」「なぜこの楽器を選ぶのか?」という現場の判断基準を知ることで、あなたの音楽は「ただのBGM」から「物語の一部」へと進化します。

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まとめ

ドラマ劇伴の作曲は、エゴを捨てて作品に奉仕する、非常に職人的な仕事です。

  • 人間の声の帯域(中音域)を邪魔しないアレンジを徹底する。
  • 表面的な感情ではなく、裏にある心理(サブテキスト)を音にする。
  • 小編成でも間を持たせられる、確かな基礎力と表現力を身につける。

「音楽が鳴っていることに気づかなかったけれど、涙が出た」。そんな最高の賛辞をもらえる作曲家を目指して、まずは「引き算」の意識から始めてみてください。

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