
「仕事の合間にDTMで作曲を始めたい」「音楽理論を基礎から理解したい」──そんな方に向けて、今回はダイアトニックスケール(メジャースケール)をテーマに詳しく解説します。
実は、メジャースケールには15種類のキーが存在し、シャープ(♯)やフラット(♭)が付く仕組みを理解すると、作曲やアレンジに役立つ視点がぐっと増えます。
1. そもそも「ダイアトニックスケール」とは?
ドレミファソラシドはダイアトニックスケールの代表例
「ドレミファソラシド」という耳なじみのある音階。これは実はCメジャー・スケール(ハ長調)と呼ばれるもので、ダイアトニックスケールの代表的な例です。
ダイアトニックスケールとは、7つの音が一定の規則に従って並んでいる音階の総称です。
- Cメジャーのように何も付かないスケールもあれば、
- GメジャーやFメジャーのようにシャープやフラットが含まれるスケールも存在し、
すべて合わせると15種類のメジャースケールが作られます。
どんな規則で7つの音を並べるか?
具体的には「全音・半音の配置」に関わるルールがありますが、これは次のセクションで詳しく解説します!
音階を形づくる「音名」と「階名」
ダイアトニックスケールを理解するうえで欠かせないのが、「音名」と「階名」という2種類の呼び方です。
-
音名(C, D, E, F, G, A, B など)
- 鍵盤上で「ここがC」と決まっているように、物理的な高さに対応した名称
- 例:ピアノの中央にある「ド」は、音名では「C」
-
階名(ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド)
- スケール内での位置・役割を示す呼び方
- 例:Cメジャーでは「C=ド」だが、Gメジャーでは「G=ド」となる
音名は絶対的な“高さ”を指し、階名はスケールの“並び”を指す――この違いを押さえておくと、キーが変わったときにシャープやフラットがどこで追加されるのかを理解しやすくなります。
具体例:CメジャーとGメジャー
1. Cメジャー・スケールの場合
- 音名:C, D, E, F, G, A, B, C
- 階名:ド, レ, ミ, ファ, ソ, ラ, シ, ド
こちらは最もシンプルな形。Cの音名が“ド”として機能しているため、いわゆる「ドレミファソラシド」が成立します。
2. Gメジャー・スケールの場合
- 音名:G, A, B, C, D, E, F#, G
- 階名:ド, レ, ミ, ファ, ソ, ラ, シ, ド
ここではGが“ド”扱いになるため、7番目の音がF#に変わっています。こうしたシャープやフラットが付く理由は、メジャースケール特有の音程配置を守るためです。(※この詳細は次セクションで解説予定)
まとめ:ダイアトニックスケールとは「7音が規則的に並ぶ音階」
- 「ドレミファソラシド」はCメジャーとしてのダイアトニックスケール
- どの音を“ド”に置くかによってシャープやフラットの数が変化する
- 音名は絶対的な高さ、階名はスケール内の役割
次のセクションでは、メジャースケールがどのように「全音・半音」を配置しているのか、その具体的なルール「全全半・全全全半」について詳しく見ていきましょう。
2. メジャースケールは「全全半・全全全半」の並び
メジャースケール(長音階)は、以下の順序で並ぶのが最大の特徴です。
1. 全音 → 2. 全音 → 3. 半音 → 4. 全音 → 5. 全音 → 6. 全音 → 7. 半音
これを「全全半・全全全半」と略して表現することが多いです。
「全音」と「半音」の違い
-
全音(Whole Step)
ピアノの白鍵と白鍵の間に黒鍵が1つ挟まる距離
例)C → D(CとDの間に黒鍵が1つ) -
半音(Half Step)
隣り合う鍵盤同士の距離。
例)E → F(黒鍵が挟まらない)、C → C#(白鍵→黒鍵)
Cメジャーで見ると
- C→D(全音)
- D→E(全音)
- E→F(半音)
- F→G(全音)
- G→A(全音)
- A→B(全音)
- B→C(半音)
最後の7番目→8番目が半音なのが、メジャースケールらしい響きをもたらします。
3. テトラコードが鍵!メジャースケールの仕組み
メジャースケールをもう少し深掘りすると、前半4音と後半4音に分割して考えられることがわかります。
- 前半の4音(テトラコード):全音・全音・半音
- 後半の4音(テトラコード):同じく全音・全音・半音
「Cメジャー」なら
- 前半:C, D, E, F
- 後半:G, A, B, C
という区切りです。この前半・後半のテトラコードをいろいろな音から始めて組み合わせることで、キーが増えていきます。
4. 15キーはどうやって生まれる?(シャープ系・フラット系の仕組み)
シャープ系の最初の例:Cメジャー → Gメジャー
■ステップ1:Cメジャーのおさらい
まず、Cメジャー・スケールは
という並びで、前半4音を「C, D, E, F」、後半4音を「G, A, B, C」と区切ることができます。
- 前半(C, D, E, F):全音・全音・半音
- 後半(G, A, B, C):全音・全音・半音
■ステップ2:後半(G, A, B, C)を先頭に持ってくる
Cメジャーの「後半4音」である「G, A, B, C」を、そのまま次のスケールの“前半”として採用します。
前半4音:G, A, B, C
すでに「全音・全音・半音」の並びになっているので、ここは変更なしでOKです。
■ステップ3:続けて「D, E, F, G」を後ろに足す
次に、G, A, B, Cのあとへ「D, E, F, G」と4音を足し、合計8音(オクターブ)をそろえます。
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