Aメロやサビといった言葉は分かるし、理論もある程度は勉強した。それなのに、いざ自分の曲になると、どういう順番で組み立てればいいのか手が止まる。作ってみても、気づけばいつも同じ構成になっている。そう感じている独学のDTMerは多いはずです。
曲の構成でつまずく本当の原因は、多くの場合「どのパターンを選べばいいか」の判断軸がないことにあります。J-POPでよく使われる定番の構成パターンを一覧で整理したうえで、自分の曲でどれを選ぶかを決めるための基準を説明します。
目次
そもそも曲の構成とは何か
曲の構成とは、イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・間奏・大サビといったセクションを、どの順番で並べるかという設計図のことです。同じメロディやコードでも、どのセクションをどこに置くかで、聴いたときの印象は大きく変わります。
日本で使われるAメロ・Bメロ・サビは、洋楽のVerse・Pre-Chorus・Chorusにおおむね対応します。厳密に同じ概念ではありませんが、Aメロが物語の始まり、Bメロが盛り上がりへの助走、サビが最も聴かせたい山、という役割はほぼ共通です。それぞれのセクションが何かをもう少し詳しく知りたい場合は、Aメロ・Bメロとは何かをまとめた記事を先に読むと、このあとの話が入りやすくなります。
J-POPでよく使われる曲の構成パターン
まず、定番の構成パターンを一覧で押さえます。どれも「よく使われる型」であって、必ずこの通りにする決まりはありません。まずは引き出しとして持っておくことが目的です。
| パターン | セクションの並び | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 標準型 | イントロ→A→B→サビ→A→B→サビ→間奏→サビ | 王道のJ-POP。物語を積み上げてサビで解放する |
| サビ始まり型 | サビ→A→B→サビ→… | 冒頭で一番強いフックを聴かせたいとき |
| Bメロなし型 | イントロ→A→サビ→A→サビ→… | 展開を速くしたい・キャッチーさを優先するとき |
| 大サビ(Cメロ)追加型 | …→サビ→C(大サビ)→サビ | 終盤にもう一段の盛り上がりや転調を足したいとき |
| 短尺・ループ型 | サビ→A→サビ(全体を短く) | ストリーミングやショート動画で、早く聴かせたいとき |
近年は、配信やショート動画の影響で、イントロを短くして早くサビに入る短尺の作りが増えています。一方で、バラードのようにじっくり聴かせたい曲では、Aメロを2回繰り返して物語を丁寧に運ぶ標準型が今も強い型です。つまり「今の主流はこれ」と一つに決めるより、曲の目的に合わせて型を選ぶ姿勢が要ります。
自分の曲でどの構成を選ぶかの判断軸
型を並べても、「じゃあ自分の曲はどれにするのか」で止まる人がほとんどです。ここが構成づくりの本当の難所です。選ぶときは、次の4つを順番に考えると決めやすくなります。
一番聴かせたいのはどこか
その曲で最も届けたい瞬間がサビなら、サビへ向けて丁寧に積み上げる標準型が合います。逆に、つかみのインパクトを最優先したいなら、サビ始まり型で冒頭から山を見せる選択になります。「どこを一番聴いてほしいか」が、最初の分かれ道です。
曲の長さをどれくらいにするか
フルサイズでじっくり聴かせるのか、配信やショート動画で短く届けるのかで、入れられるセクションの数は変わります。短くするなら、Bメロや間奏を削って要点だけを残す判断が必要になります。
ジャンルの慣習に沿うか、あえて外すか
バラード、ロック、ダンスミュージックなど、ジャンルごとに聴き手が期待する型があります。まずは慣習に沿うと安定し、慣れてきたら意図的に外して個性を出す、という順番が現実的です。
最後まで飽きさせない展開になっているか
同じセクションを繰り返すだけだと、後半で単調になります。2番のAメロは楽器を減らす、最後のサビの前に大サビを足すなど、繰り返しの中に変化を作れているかを確認します。
⏵ 自分が今どの段階にいるか分からない方へ
構成の選び方は、作曲全体の中の一工程です。今の自分に何が足りないのかを俯瞰したいときは、全体像から整理すると迷いが減ります。JBG音楽院の51ページのロードマップPDFに、学習の順序と現在地の確かめ方をまとめています。
リフレインと「間」で構成にメリハリをつける
構成の型が決まったら、その中でメリハリをつけていきます。鍵になるのが、リフレイン(繰り返し)と休符(間)の使い方です。
サビの印象的なフレーズを繰り返すと、曲にはっきりしたテーマが生まれ、耳に残りやすくなります。ただ、まったく同じ形で繰り返しすぎると単調になります。2回目のサビでハモリを足す、最後のサビだけ半音上げる、といった小さな変化を混ぜると、繰り返しが飽きにつながりません。こうした変化はコード進行とも密接に関わるので、王道進行や小室進行などのコード進行の型とあわせて考えると、打ち手が増えます。
もう一つ見落とされやすいのが休符です。音を詰め込むより、あえて音を抜いた「間」を置くほうが、次のフレーズが引き立ちます。サビに入る直前で一瞬音を止めると、聴き手の期待感が高まり、サビの効果が大きくなります。
構成が決まったら、楽器編成は骨格から積む
セクションの並びという骨格が決まったら、次は楽器編成です。ここは深く踏み込むと一冊分の話になるので、順番の考え方だけ押さえておきます。
プロの現場では、いきなり音を重ねるのではなく、まず「その曲が何を表現したいのか」を言葉にしてから、リズム、ベース、コード楽器、上物、という順で土台から積み上げていきます。低音とリズムでグルーヴの土台を固めてから色を足すと、全体がまとまりやすくなります。
アコギと歌だけの簡素な音源を、プロの作曲家がリズムからベース、上物へと積み上げてフルアレンジしていく過程を、JBG音楽院の公式YouTubeで実演しています。編成をどの順番で組むかが、音つきで確認できます。楽器を重ねても曲が薄く感じるときの原因は別にあることも多く、その場合は曲がスカスカに聞こえる原因と対処をまとめた記事が参考になります。
型を「知っている」から「使える」へ
ここまで型と判断軸を見てきましたが、構成の本当の難しさは、知識を覚えることではありません。自分の曲を前にして、その場で「この曲ならサビ始まりだ」と選べる状態になることです。パターンを暗記しても、いざ手を動かす場面で引き出せなければ、結局いつもの構成に戻ってしまいます。
この「知っている」から「使える」への距離を縮めるには、実際に自分の曲で選んでみて、それが良かったかどうかのフィードバックを受ける経験が要ります。JBG音楽院では、講義で型と判断軸を学び、自分の曲を課題として作り、現役プロ講師の添削を受けるという反転学習のサイクルで、覚えた知識を実際の作曲判断で使える力に変えていきます。
⏵ 独学で構成の判断が身につかない方へ
型を覚えても自分の曲で選べない、というつまずきは独学で起きやすいものです。JBG音楽院の51ページのロードマップPDFでは、知識を作曲判断に変えるための学習の順序を整理しています。
まとめ:型を並べて、選ぶ基準を持つ
曲の構成でつまずくのは、型を知らないからではなく、選ぶ基準を持っていないからです。定番の型を引き出しとして押さえたうえで、一番聴かせたい場所・曲の長さ・ジャンルの慣習・飽きさせない展開という4つの軸で選べば、いつも同じ構成になる状態から抜け出せます。
- 構成はセクションの並び方の設計図。定義から知りたいときは基礎の記事へ。
- 標準型・サビ始まり型・Bメロなし型など、定番の型を引き出しとして持つ。
- 選ぶときは「一番聴かせたい場所」から決め、長さ・ジャンル・展開で調整する。
- 型は覚えるだけでなく、自分の曲で選んでみて初めて使える力になる。
型と判断軸を自分の作曲にどう組み込むかは、作曲全体の流れの中で見ると分かりやすくなります。学習の順序を一度俯瞰しておきたい方は、『社会人のDTM 始め方ロードマップ』(51ページPDF)で全体像を確認できます。
よくある質問
曲の構成に決まったルールはありますか?
厳密なルールはありません。よく使われる定番の型はありますが、曲の目的に合っていれば外しても問題ありません。まず型を知り、そのうえで選ぶという順番が大切です。
Bメロがない曲はダメですか?
問題ありません。Aメロからサビへ直接つなぐ構成は、展開を速くしたいときやキャッチーさを優先したいときによく使われます。Bメロは必須のセクションではありません。
サビから始める構成はどんな時に使いますか?
冒頭で一番強い部分を聴かせたいときに向いています。つかみを最優先する配信曲などで有効ですが、盛り上がりを積み上げたいバラードには不向きなこともあります。
構成が思いつかないときはどうすればいいですか?
好きな曲を1曲選び、そのセクションの並びを書き出してみてください。既存曲の型を借りて自分の曲に当てはめると、ゼロから考えるより早く形になります。